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趣味の空間

趣味の色々な雑学や記録

【釣り】ブラウントラウトの侵入と生物の繁殖力について①【考察】

 石狩川水系千歳川 支流紋別川。

 

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 ここへ一昨年かな。釣りに行って来ました。

 

 その際、事前調査は渓流釣り北海道120河川ガイド(2008年6月初版)で行い、イワナブラウントラウトがいて上流へ向かう程にブラウントラウトの魚影が薄くなり、イワナが多くいると書かれていました。

 

釣行は2014年9月半ば、

入渓ポイントと釣果は以下の通りでした。

1.紋別4号橋〜7号橋:ブラウントラウト1匹

2.二又〜支線2号橋:ブラウントラウト2匹

3.支線3号〜支線4号までの中間ポイント:ブラントラウト数匹

 

 その際はブラウントラウトの35㎝程度2匹と20㎝位までが数匹しか釣れず、ブラウントラウトが釣れているのにイワナが居て釣れないと言うのは性質的に考え難いので、少なくともその時、その場所にはイワナが殆ど居なかったと考えています。

 それからはブラウントラウトによる既存生態への浸食を懸念しています。

 

 ブログを漁ると最近でもイワナを釣ったと報告しているのもあるので絶滅しているわけではないのでしょうが、ガイドの方は実釣から出版までのタイムラグを考えると10年前後の期間があるのでしょうが、その10年位で生態系が変わってしまったのか。

 

 もしかしたら、釣りの遡上時期からしばらく過ぎた時期である事や釣り人が多そうな場所で警戒心が比較的緩いイワナが先に釣られてしまったとかあるのかもしれませんが、ブラウントラウトの侵入の歴史とか生態系への浸食のシミュレーション等してみたいと思います。

 

侵入時期について

【参考】 

ニジマスからブラウントラウトへの置き換わり現象|トピックス|水産総合研究センター「北海道区水産研究所」

1990年代では広範囲でニジマスが確認されたのに対し、2010年代では多くの場所でブラウントラウトのみが確認されました。

 

 北海道のサケ・マス増殖河川におけるニジマスおよびブラウントラウト の生息状況

https://www.hro.or.jp/list/fisheries/marine/att/kenpou90kasen.pdf

近年,北海道の河川や湖沼では,外来サケ科魚類であるニジマス Oncorhynchus mykiss やブ ラウントラウト Salmo trutta の分布が拡大している.鷹見・青山(1999)は,1996年までにニ ジマスが道内72水系,ブラウントラウトが18水系でそれぞれ確認されたとし,これらの種の 生息する水系が遊漁の盛んになった1970年代以降に急速に増加したことを指摘している.

ーーー

日本には1892~3年に北米から卵が運び込まれたのが最初であるという (MacCrimmon et al. 1970) .

北海道では1980年に新冠人造湖において本種が初めて確認されたが,これは1978年に同湖と静内川に私的放流された種苗に由来する(米川 1981).

ニジマスは公的機関によって河川や人造湖に放流されてきた歴史的な経緯があるのに対して,ブラウントラウトについては公的な放流記録がなく,本種はもっぱら私的な放流によって道内に広まったと考えられている

支笏湖の生物とヒメマス

http://www.fish-jfrca.jp/02/pdf/lake/shikotsu/003_sikotu.pdf

支笏湖では 1988 年頃から密放流によると考えられるブラウントラウトが確認されるようになり 4)、他の生息魚類に影響を及ぼすようになってきた

 

 つまりは侵入時期、方法ともに不明であり、一般人による放流であるだろう事が記載されている。

そして最初の発見は1980年代頃であり、そこから約30年程かけて既存の生態系を浸食して優勢種となったと考えられる。

 

外来生物の侵入と繁殖経過を考察する

先ずは繁殖条件を仮定しよう。

 ・最初に稚魚100匹を小さな小川(長さ数キロ程度)に放流すると仮定する。

 ・環境は陸封されている。(河川外の流入・流出は無いものとする。)

 ・稚魚は2年かけて成熟し、孵化から3年目に繁殖可能とする。

 ・雌が個体平均300個の卵を産むとして雌雄は半々と考え、繁殖可能数に端数が生じた場合は切り捨てて繁殖可能な数(親)の平均で150個の卵を産む事とする。

 

 ・だいたい個体数5万を超えた所で発見され、30万を越えた所でその河川に飽和(生態系へ安定定着)したと仮定する。

  ※数が少ないうちは条件のいい場所にいる事で安全に豊富な餌を取れ、警戒し易い場所にいる。その為、人に釣られる可能性は極めて少ない。また一定個体数が釣れないと多くの人に認知されず情報として一般化されないと考えてこの条件としました。

 

1.繁殖率100%(死なない場合)の場合

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死なないというのは有り得ないのですが、もともと計算がめんどくさいので、

まずは純粋な繁殖力と言うか、めんどくさい条件を無くして表の見方と計算方法を説明します。

1年目

 稚魚が放流されるので発生稚魚数が100、全個体数も100。

2年目

 稚魚はまだ産卵しないので発生稚魚数がなし、全個体数は前年の発生稚魚数の100。

3年目

 1年目の稚魚が親になるので、発生稚魚数が繁殖可能数に加算されて100。

 繁殖可能数が100あるのでこの年から稚魚が発生します。

 発生稚魚数が繁殖可能数(100)×平均産卵数(150)=15,000

 全個体数は繁殖可能数(100)+発生稚魚数(15,000)=15,100

4年目

 繁殖可能数は前年の100と2年前(2年目)の稚魚数(0)を足して100

 発生稚魚数は繁殖可能数(100)×平均産卵数(150)=15,000

 全個体数は繁殖可能数(100)+前年と今年の発生稚魚数(15,000+15,000)=30,100

 

5年目以降は4年目と同じ計算方式です。

  だいたい5年目位に発見される様になり、7年で安定します。

 つまり全く死なないという不可能条件下でさえ、一般に知られるまでに5年もかかるという事です。私としては意外と長いと思いましたが、読者の皆さんはどうでしょうかね?

 

2.未成熟個体が1年目と2年目に各年80%死ぬの場合

  【追加条件】生存競争における圧迫や捕食者によって食べられたり病気によって成熟するまでに96%死にます(1-(1-0.8)×(1-0.8)=0.96)

  生物は基本的に生涯繁殖数の中から2匹しか繁殖できません。でないとその生物は増え続けてしまいます。

  繁殖数に対してちょっと(?)多いですが、競争相手を浸食していく前提と考えて、魚類の生態から見てざっくりと設定してみました。

  

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1年目

  放流した稚魚が80%が死んで20%生き残るので、全個体数は20.

2年目

  全個体数は1年目の発生稚魚数(100)×生存率(0.2)×生存率(0.2)=4

 

3年目

  繁殖可能数は1年目の発生稚魚数(100)×2年の生存率(0.04)=4

  発生稚魚数は繁殖可能数(4)×平均産卵数(150)=600

  全個体数は繁殖可能数(4)+前年の発生稚魚数(0)×2年の生存率(0.04)+今年の発生稚魚数(600)×生存率(0.2)=124

 

4年目以降は3年目とほぼ同じなので略。

 

この場合は発見が9年目、安定するまで定着11年。たった数キロの小さな小川で安定するのに11年もかかります。

 

3.更に親も毎年30%死にますの場合

 【追加条件】親も大型の捕食者に食べられたり、病気や寿命で毎年30%死んで70%が生き残ります。

      親はサイズが大きくなったので捕食者が絶対的に少ないので70%の生存率として設定しました。(甘いかな?)

 

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 1つ前の計算と違うのは、繁殖可能数の計算です。

 3年目 繁殖可能数は2年前の発生稚魚数(100) × 2年の生存率(0.04) = 4なので変わりません。

 4年目 繁殖可能数は前年の繁殖可能数(4) × 親の生存率(0.7)+2年前の発生稚魚数(0) × 2年の生存率(0.04) =2

     ※3でなく2になったのは端数切り捨ての為です。

この場合は発見が9年目、安定定着11年目。あれ?数値はやや違うものの年数で数えると2番目のとあまり変わりませんね。

親の生存率が高すぎるのかもと思って70%から50%、30%で計算してみました。(表は省略)

 50%  発見が9年目、安定定着12年目

 30%  発見が10年目、安定定着13年目(繁殖可能数を端数切捨てにしたら絶滅するので四捨五入にした)

どうやら子供の生存率の影響が大きく影響する様です。

 

4.稚魚(1、2年目)の生存率を毎年10%にするの場合

親の生存率は70%としたままで、稚魚の生存率を毎年10%にしてみる事にします。

成熟するまでの生存率が1%という事になります。

 (繁殖可能数を端数切捨てにしたら絶滅するので四捨五入にした)

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発見が20年目、安定定着24年目。

 稚魚の生存率が下がると発見までの年数が急に伸びましたね。

 

 これで何が言いたいかと言うと、極少数の生物が多数へ拡大していくには10年とか長いと20年以上の歳月が必要と言う事なんですよ。

 それと二世が親になるまでが一番危うい。そこまで繋がればその後は条件が変わらない限り絶滅しないという事が確認できました。

 

 しかし発見から安定定着とした年数までが3〜4年程度とあまりに近いのはなんなんでしょうな。

 1.繁殖可能数が全て産卵する事に起因する?

 2.発見ポイントと飽和ポイントの数が近過ぎる?

 3.その他の要因?

 4.問題ない?

 うーん...。

 

 産卵数についてはやってみて気付きました。実際は産卵場所は限られていて熾烈な奪い合いを行いながら産卵している為、全体の産卵数は個体数に関わらずある一定から伸びないからその辺の設定も必要って事です。

 それと聡明な方は気付いておられると思いますが、競争相手を上手く設定できていないのですな。なかなか難しい。

 

 そして他にもまだ重要な条件設定ができていない可能性もあります。ご了承下さい。

 

 この辺で一区切りとしましょうか。

 

【その他参考】 

北海道ブルーリスト - 詳細内容

 

【釣り】ブラウントラウトの侵入と生物の繁殖力について②【考察】 - 趣味の空間